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2018年02月08日実証実験

【実証実験インタビュー】杖型ロボで安心・安全な未来の歩行を実現!

実施主体名
大阪市立大学
http://www.osaka-cu.ac.jp/ja

実証実験名
杖車輪型装置を用いた歩行者案内システムの機能検証

 

2018年1月15日(月)、大阪市立大学工学研究科の今津篤志講師による「杖車輪型歩行者案内装置」の実証実験が、ATC O’s棟北館・南館2階共用部、ITM棟2階共用部を使用して行われました。
そこで今回、今津講師に、実証実験のポイントや実施しての感想、今後についてお話をうかがいました。

 

#今回、実証実験をされた「杖車輪型歩行者案内装置」とは、どのようなものですか?

利用者が杖を押しながら歩行すると、装置があらかじめ設定したルート通りに車輪のステアリング操作を行い、目的地まで案内する装置です。

装置には進行方向を掲示するためのモータや、位置情報を得るためのセンサなどが搭載されています。装置自体は“自走しない”非駆動なので、暴走する危険性は無く、利用者の判断で移動速度を決められるのが特徴です。
またステアリングが進行方向を直感的に案内するので、どんな人でもすぐに慣れて使用することができます。

 

#今回の実証実験の概要と目的を教えてください

今回はATC O’s棟南館2階「空の広場」をスタートして、北館を抜け、ITM棟2階共用部を目指す約450mのコースを、初めて装置に触れる4名の被験者に利用してもらいました。

実験の目的は、まず「利用者との協調性の確認」です。この装置は装置が人と協調して方向を決めるという特徴があるのですが、装置の掲示するステアリングと利用者が実際に歩いたステアリングの一致度を確認しました。もうひとつは「人混みでの案内性能の確認」です。周囲に人がいる場合にはセンサが遮られるなどの理由で、自己位置を見失うことがあると想定されますので、その可能性をチェックしました。

そして、最後に「周辺歩行者の反応」です。装置の大きさが妥当であるか、歩行者と対峙した場合の回避方法などを検証しました。現状の装置には、あえて周辺歩行者を感知して回避する機能は持たせていません。その機能の必要性の有無も今回の実証実験で判断したかった部分です。

 

#実証実験を終えてみての感想はいかがですか?

この装置の特徴である“装置と人が協調して方向を決め、それを利用して案内を行う”というところは、今回初めて使った方でも問題なく意図したとおりにできていました。しかし、4名の被験者に同ルートを通ってもらい、完走が1名のみと、学外で初めての実証実験とはいえ、少し不甲斐ない結果でした(1月15日実施分)。

これから詳細にデータ分析していきますが、学内では問題にならなかった外光や障害物などの外的要因による位置情報のロストなど、いくつかの課題が見えてきたことは収穫だと思っています。


 

#開発において苦労していることはありますか?
先ほどもお話した通り、今回が学外で実施する初めての実証実験でした。

開発においてはハードやソフトなどの技術部分だけでなく、こうしたリアルな実験環境を整えることにもとても苦労しています。
その点、今回のように、より日常に近い条件で実証実験をする機会を設けていただけたことはありがたかったですね。

 

#今後の展開と、将来的な目標を教えてください

まず身近なところでは、観光地や商業施設などで地図を見ながら移動するのが苦手な方の案内サポート、またはアミューズメントパークや科学館などでロボットに案内されて歩く娯楽性のあるロボットとして利用できるまで性能を向上させていきたいと思っています。そして、将来的な目標は目の不自由な方々の単独歩行をサポートできる装置として展開することです。

安全性や信頼性など、多くの問題を解決していかなくてはなりませんが、最終的には、視覚障害者の方が行きたい場所へ、犬を散歩させる感覚で安全に歩いて行けるロボットを目指していきます。

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